ダージリンでいちばん幸せな茶園

現地人5,6人に、ダージリンで一番有名な茶園はどこ?という質問をしましたら、全員が見事に同じ答えを返してくれました。
キャッスルトン? マーガレッツホープ? タルボ? という私の予想を裏切り、全員が口にした答え。
それが、ハッピーバレー茶園です。

それはこの、ハッピーバレーという名前の由来にも関係します。
ダージリンの市街から近い茶園であるので、ここの所有者は大変幸せ者だ、という意味でハッピーバレーという名前になったのです。

b0263744_19213155.jpg

実際、ダージリンのメインバスパークから歩いて1キロ、15分ほどで到着します。
シリグリからダージリンに来る道にはハッピーバレーの大きな看板が出ていますが、茶園から離れた場所に宣伝用サイネージを掲げている茶園は、他に見たことがありません。
その看板には、ハッピーバレーはレボンへのメインロードに面する唯一の茶園ですよ、と書かれていた。
その文言からは、とにかく市街地から近いんだよ。ということを強調したいのが伝わりますし、工場のショップには可愛いデザインの無料のリーフレットも置いてあるし、誰にでも予約なしで工場見学をさせてくれる。
宣伝に力を入れ、地の利を最大限に活かして観光客を誘致しているのを感じます。
そういうことを知ってみれば、ダージリンの人々が口を揃えて、ハッピーバレーこそが一番有名な茶園だ、と言うのも納得がいきます。

ファーストフラッシュのシーズンが終わる頃、私はこの茶園を訪れました。
私の中で、ダージリンはヌワラエリヤに似ているに違いない、という想像がありました。
ヌワラがダージリンに似ている、が正しいのかもしれないけれど。
標高が高く、霧が濃く、昼夜の温度差が大きく、雨が一日のうちに何度も降ったり止んだりするという共通点。
それは、確かにその通りでした。
実際、到着してから帰るまでに霧が出ていたのに急に晴れ上がったり、突然どしゃ降りになって雷が鳴ったり、そして雨が止んでまた青空が…と、めまぐるしく空模様が変わっていきました。

雨が止んだ直後の茶葉。生命力を感じさせます❤
b0263744_19215042.jpg

けれども、その光景たるや。
そのスケールは、世界一愛しく思っていたヌワラエリヤの紅茶畑を意識の遠くへ追いやるほど、世界でもっとも有名な茶産地にふさわしいものでした。
メインロードからの入り口を通り、道の途中から茶畑を見下ろした瞬間、今まで沢山の茶畑を見てきたはずなのに、空と、霧と、街に包まれたその光景に、言葉を失いました。

茶畑そのものは、これより広いところをいくらも見てきた、と思う。
けれどもここでは空と、街と、霧なのか雲なのかその境目もわからないほどの白さ、そのコントラストに圧倒されるのです。
谷底を流れる霧は、巨大な白い竜が体を休めているようにも見えました。

訪問したとき、ちょうどランチタイムだったので、茶摘みのおばちゃんたちがランチを食べていました。
写真を撮らせていただいたのだけど。
おばちゃんたち、なかなかの男前なお姿でのお食事タイムだったので、近距離での写真はここには載せられません(^_^)

看板の下に、ランチ中の茶摘みおばさんたちがいる。
b0263744_19054922.jpg

「ランチタイムだから、今は工場見学できないわよ」
工場へ向かおうとした私に突然話しかけてきたのは、工場への道の途中にある小さな店の前でうろうろしていたおばちゃん。
「それに工場は試飲させてくれないからね。良かったらここで飲んでいらっしゃいな」
ということで、そのおばちゃんのティールーム?おうち?にお邪魔することに。
思いがけず可愛らしいお部屋で、わあ~となりました♪

同じタイミングで、フランス人二コラとオーストラリア人メリッサの美男美女カップル、そして彼らの知り合いの誰か(現地人なのかおばちゃんの知り合いなのか、自由に外へ出て行ったりしてた)もやって来たので、一緒にお茶をすることに。

メリッサと、地元民?(おばちゃんとネパール語でしゃべってた)の男性は、茶葉に興味津々。
b0263744_19080369.jpg

我々の前に、何種類もの茶葉サンプルを並べて見せるおばちゃん。
FTGFOP1に可愛らしく節をつけて歌うおばちゃん。(マネしたくなる)
日本人が何人も書いたのよ~と言いつつ、寄せ書き帳を差し出すおばちゃん。

寄せ書きを見せられた瞬間、ゲストハウスの客引きと同じものを色濃く感じてしまい。
ここでは茶葉は買わないだろうな。と予感しましたけれど、おばちゃんのパフォーマンスが見事でしたので、そのためにお金を出してもいいな。とは思った。
だって、自分が美味しい紅茶の淹れ方のデモンストレーションするとしても、あんなに楽しそうに出来ないもん(^O^)/

b0263744_19081505.jpg

我々に自由にサンプル茶葉の香りを試させてくれて、気になるお茶は実際に試飲させてくれた。
最初に出してくれたのは、5秒茶とおばちゃんが呼ぶ、鍋でわずか5秒で煮出す淹れ方の紅茶。

淹れるところも見せてくれたのですが、実際にはおばちゃんがしゃべっていた10秒ぐらいは、煮立った湯の中に入っていた状態です。
インドではティーポットより鍋を使うほうが圧倒的に多いけれど、それにしても、こんなに短い時間で抽出するのははじめて見た。
時間がない人には良いかもしれませんね。
が、私は渋みの強いダージリンをいただくと頭痛がすることがあるのですが、このお茶で、出てしまいました…
あの短い時間で茶葉の持っている成分をよくこれだけ出せたな、と思う。
湯が煮立って泡立ちまくっていたためか、あるいは、湯の量に対して茶葉の分量が多いのかもしれません。
私には合いませんでしたが、これぐらい濃いほうが好きな方もいると思います。

このサイズのストレーナー、実は買うか迷った。
b0263744_19083674.jpg

ただ、おばちゃんの扱う茶葉は、正真正銘ハッピーバレーのものかどうか、最後まで確信が持てず。
買うとなると、何も書かれていない袋から銀の小袋に入れ、その外側に透明の袋をかぶせ、2枚の袋の間にラベルを挟み込むのだけど、どう見てもそのラベルはハッピーバレーのものではない。
インド紅茶局によるダージリン認定ロゴマークもついていない。
ハッピーバレーのだというのは、おばちゃんの言葉以外、証明するものが何もないのですよ。
正直、あれがネパール産の茶葉であっても驚きません。

二コラもそこを疑問に思ったらしく、ズバリ突っ込んでました。
そしたらおばちゃん、マカイバリとマーガレッツホープの茶葉もある、と言いだした。
え? ハッピーバレーのじゃないんですか?
しかもマカイバリのがハッピーバレーより高いんじゃ?
ハッピーバレーと言いながらそれより高い茶葉売るわけない。と思ったけど、黙ってた。

私は買わなかったし、ハッピーバレーのものか怪しいと思い続けていましたけれど、紅茶の品質はサンプルの外観から見る限り、悪くないんですよ。
1stや2nd、ホワイトティーやイエロー、ブルー、ブルーグリーンといった茶葉は、外観とその香りだけ見る限り、よく撚れて色もばらつきがないし、紅茶教室で使われてもおかしくないほどの特徴のつかみやすさ、安定感を感じました。
気になるお茶があれば、試飲させてくれますし。

b0263744_19082396.jpg

ハッピーバレーの思い出としていいみやげ話になった、おばちゃんのパフォーマンスが見事で買う気になった、どの茶園だろうが違いなんてわからないし、安く茶葉が買えるならそれに越したことはない。
そもそもハッピーバレーのだとおばちゃんが説明しているのだから、疑わない。
そういう気持ちで自分が納得できるのなら、買うのは全然アリです。
工場のショップで買うよりは、だいぶんお安いですし。(その安さも怪しさの理由の一つだけど…

1時間半ほどもお邪魔したおばちゃんのお店を後にし、とっくにランチタイムが終わった工場へ。
工場見学は、何人か集まったらまとめて、工場ガイドが説明・案内してくれる感じでした。
既に団体さんが萎凋槽の前で説明を受けているタイミングで工場に入り、そこで写真を撮ったら、一緒に来い、そして工場内は写真撮影は禁止だ!とガイドに言われた。
知らなかった~ごめんなさい!

赤い屋根の紅茶工場は、わりと珍しいと思いますの。
b0263744_19223000.jpg

ですので、工場内部の写真はありませんが、製茶の工程を知るために見学するのなら、ここは良い工場だな。という感想。
2階で萎凋を見たら階下に降りて、通路を歩いてガラス越しに見学。
機械や製造過程の茶葉を間近で見ることができないので、その点はもの足りないかも。

ですがここは、製茶の順番通りに、工程が一直線に並んでいるんですよ。
私が見た他の工場では大抵、あっち行ったりこっち行ったりして製茶工程がわかりづらかったりするんですが、ここはとてもわかりやすい。
しかも工場内が床も壁も白く、クリーンに保たれているのがよくわかる。
製茶実習の時に見学した、三井農林さんの工場に似ているような。
シュウマイの崎陽軒の横浜工場も見学したことがあるのですが、あそこにも似ているような…(むろん製造工程ではなく、雰囲気のことですが)

結局、工場見学よりも、茶葉売りおばちゃんの印象のが強烈だった。
ともあれ、ハッピーバレーの茶畑の景色は、ダージリンの市街に茶畑がこんなに近いんだ!ということが体感できる随一の茶園。
そしてダージリンで最も標高が高い茶園でもあるので、霧の光景が圧巻です。
あの光景は今でも、多分ずっと、忘れることができません。
ダージリンに行かれた際には、是非とも訪れてみてください。

b0263744_19242867.jpg

[PR]
by bestdropteaclub | 2014-06-08 23:19 | インド、2014 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://bdtc.exblog.jp/tb/22755607
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


毎日を、紅茶と一緒に


by bestdropteaclub

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
金沢、2014
紅茶レッスン
スリランカへの旅2012
パンと一緒に
紅茶のおいしい場所
イベント
本日のお茶
愛しの紅茶道具
インド、2014
ネパール、2014
ブログ
Corpse Reviver
京都、2015
アフタヌーンティー
アドヴェント・ティー2014
Corpse Reviver
未分類

以前の記事

2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月

フォロー中のブログ

Cupotea 紅茶教室

最新のコメント

Best Drop Te..
by Micanda at 13:44
Micandaさん ..
by bestdropteaclub at 23:06
Best Drop Te..
by Micanda at 23:14
> まろんさま コメン..
by bestdropteaclub at 21:26
> キンポウゲさん こ..
by bestdropteaclub at 17:39
焼きたてスコーン、とても..
by キンポウゲ at 10:31
> キンポウゲさま お..
by bestdropteaclub at 19:23
お久し振りです^^ 壁..
by キンポウゲ at 18:01
> キンポウゲさん ダ..
by bestdropteaclub at 09:16
先日も楽しく勉強になるお..
by キンポウゲ at 23:09

メモ帳

最新のトラックバック

オペラ・ブッファの最後の名曲
from dezire_photo &..
究極の愛を描いたワーグナ..
from dezire_photo &..

ライフログ

検索

タグ

その他のジャンル

ブログパーツ

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

最新の記事

参加者募集♫ クリームティー..
at 2017-05-20 20:38
キーママタルとアイスチャイ@..
at 2017-05-14 12:20
ほうじ茶バゲットのサンドイッ..
at 2017-05-04 15:31
イースター、お茶とお菓子とレ..
at 2017-04-19 19:24
参加者募集♪ 「西荻のパンが..
at 2017-04-15 19:00

外部リンク

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

お酒・お茶
旅行・お出かけ

画像一覧